興福寺国宝展 −鎌倉復興期のみほとけ−
2004-10-11


興福寺の宝物、しかも大好きな鎌倉期のものばかりが集合するというので、とても楽しみにしていた展覧会。
会場は上野公園に隣り合った芸大美術館。実は初めて入ったのだが、立派な建物でびっくりした。展示は地下2階と3階の2フロア4部屋で、\1,300の入場料の割には小規模と言える。しかし当初の期待以上にすばらしい展示で、入場料に見合った以上の内容だと思った。


開場時間の10時ジャストに到着するが、入口前には人がいなかった。空いてるじゃんラッキーと思い会場に入る。受け付けを済ませ、最初の展示室の地下2階へ。エレベータで降りると・・・ げっ、結構混んでる。東博で開催される展覧会ほどではないが、入り口付近は黒山の人だかりだった。
これはやばいと思い、地下の展示室はスルーして3階展示室に行くことにした。3階には国宝・重文級の仏像が集結してすばらしいという情報を事前に得ていたからだ。

3階の展示室はエレベータをおりてすぐ右。さすがに開館直後、まだ5人くらいしか人がいなかった。

無著・世親像(国宝)
展示室入り口で、なんとこの二人がこちらを向いて立っていた。いきなりこの二人がいるんじゃ、中はいったいどうなっちゃってるんだろうとのっけから興奮気味に。
今にも動き出しそうな精密な描写が堪らない。特に無著が好きだ。この二人はいつもは北円堂の中にいて、年2回の特別開扉期間中しかお目にかかることはできない。私はたった1回、数年前に東博で特別展示されていたときに見たことがあるだけ。しかしそのとき受けた強烈な衝撃は今も薄れることはない。今回のお目当てのひとつだ。
仁王像(阿形)(国宝)
国宝館では順路の最後のあまりぱっとしないところに安置されているが、ここでは1体だけで広めの空間に。おかげでさまざまな角度から見ることができた。壁の前だが、背中もよく見えた。普段はガラスケースの中にいるが、そんな邪魔なものもない。
目が寄りすぎているなあと常々思っていたのだが、それは正面から見るから。少し角度を変えて、向かって左斜めから見るとバランスがとれてイケメンになることに気づいた。体は向かって右斜めから見ると、逆三角形のマッチョぶりが美しい。
竜燈鬼(国宝)
仁王像・西金堂本尊の残骸とともに、一番奥の小部屋に鎮座して、特別待遇。もう何度も見ているはずだが、まだまだ見飽きない。照明の関係か、牙が木ではないことがよくわかった。水晶らしい。初めて気づいた。
法相六祖像(国宝)
6人のうち、善珠(ぜんじゅ)と行賀(ぎょうが)が来ていた。
善珠は六祖像の中でも特に表情が人間的だと思う(顔は谷啓に似ている)。じっと見ているとなんとなく頭に目がいってしまう。と思っていたら、この人は唯識を学んで頭が腫れてしまったんだそうな(その脈絡がわからないのですが)。すると頭を念入りに作ってあるのだろうか。この像は左斜め前方をギロっと睨んでいるので、その視線の先に入ってみたのだが、どうも目線が上手く合っていないようで、結局どこを見ているのかわからなかった。
行賀は膝に目がいってしまう。小池朝雄にちょっと似ていなくもない、と思う。
惟摩居士(国宝)
東金堂の中でもひときわ目立つ存在。それが間近で見られる。単眼鏡で目じりの皺を観察できたのが収穫だ。かなり深い皺だ。実は帽子(頭巾)の形がおもしろい。
十二神将(国宝)
東金堂でずらっと並んでいる十二神将。そのうち、アイーンしているやつを含めた4体が来ていた。これまた通常この距離・明るさではお目にかかれない。彩色もくっきりと見えた。
四天王像(重文)
南円堂の四天王が来ているのかと思ったら、仮金堂のものだった。仮金堂も北円堂と同じ年2回の開扉なので、これは過去に見たことはないだろう。増長天に踏まれている邪鬼の顔ができもののように凸凹になっているのが一際目立ち、結構人が寄っていた。他の3つも活き活きとしていておもしろい。

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