特別展「仏像 一木にこめられた祈り」
2006-10-15


四天王立像(古保利薬師堂・重文)
No.34。「お前に食わせるタンメンはねぇ! 」の顔にそっくりで笑える。
十一面観音菩薩立像(慈光円福院・重文)
No.30。切れ長の凄い目力が印象的。目の周りのラインの彫りがくっきりとしていて、アイシャドウをひいているみたいなのだ。まつげを伸ばせばメーテルになってしまいそう。
宝誌和尚立像(西往寺・重文)
No.42。異色の仏像。ちくま学芸文庫『表徴の帝国』のカバーで有名。
相棒いわく、「観音の化身」とかいうのならわかるけど、顔を剥いでその中から現出させるという発想が凄い、と。自分は単純にトータル・リコールを連想してしまった。全体を見ると不気味だが、手で枠を作ったり単眼鏡を使ったりして顔だけを切り取って見ると、観音の顔に視線が集中して印象ががらっと変わるのが不思議だ。
薬師如来および両脇侍像(宝城坊・重文)
No.30。へえ、これが日向薬師ですか・・・ 今回初めて見た。素朴な感じにちょっと好感を持った。鉈彫りは総じて東国に多いということで、なんとなく素朴な像が多いように感じた。

円空・木喰は展示の半分近くを占めるが興味ないのでカット。会場を3周した。図録は買わず、絵はがきを7枚買った。
なかなかの名品が見られてまあ満足ではあったが、国宝は前後期通じて4体だけとチト寂しい。
そんなこともあって、バカ高い観覧料の割にはしょぼくれた『特別展』だと思った。向源寺の十一面観音をメインに他のをおまけで呼びました、という感が拭いきれない(絵はがきもこれだけで5種類も売られていたし)。なんというか、滅多にテレビに出ない中島みゆきの出演を呼び物にして、周りを演歌歌手ばっかりで固めた紅白歌合戦みたいなしょぼくれ感なのだ。ちらしに『一木オールスター』とか書いてあるけど、室生寺の釈迦如来とか法隆寺の九面観音とか法華寺の十一面観音とか、一木造で最大とされる新薬師寺の本尊とか、ここに来ていないスターは他にも大勢いる。どこが『オールスター』なんだよ、ほかにもサザンとかユーミンとかいるだろ、とか思ってしまう。

とかいいつつも、もちろん後期展示にも行くつもりだ(チケットも買ってあるし)。宝菩提院の仏像のあるあのステージに、向源寺の十一面観音が立つとどのように見えるだろうか。(東京国立博物館・2006年10月14日観覧)


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