お伽草子 この国は物語にあふれている
2012-11-11


もうここんとこ、美術展情報は『ぶらぶら美術・博物館』にすっかり頼り切っているわけで、これも番組で知った展覧会。


ちょっと寝坊したりして、ミッドタウンに着いたのは10時半近くになっていた。凄いギョーレツだったらどうしよう、と思ったが、やはりテーマが一般受けしにくいのだろうか、会場へ向かうエレベータもチケット売り場も閑散としていた。
しかし入り口に看板が出ており、見ると「10:30から11:10まで団体の入場があります」とのこと。係員に聞くと、中学生の見学が入っているという。え゛ーそりゃ運が悪い、と思ったら彼等は静かで逆に驚いた。周りがあまりにも静かすぎて釣られたのか、それとも元々が品行方正な子たちなのか。つうか、他のジジババの方がよっぽどうるさくて、結局 iPod で耳栓をするはめとなった。

ひょっとして、物語の筋が分からず音声ガイドのお世話になるのでは、とも思ったが、TV での予習の甲斐もあり、まあ理解はできた。

大江山絵詞(重文)
No.8。酒呑童子の話なわけだが、周りの会話を聞くとはなしに聞いていると、「あ、この『しゅてんどうじ』って方が鬼なんだあ」とか言う人が結構多かった。こういう展覧会に来るくらいだから数寄者なのかと思ったら、意外にそうでもないような。
掃墨(はいずみ)物語絵巻(重文)
No.4。ある女が、白粉と眉墨を間違えて化粧しちゃって、そのことにあとで気がついてビックリ。(白粉と眉墨なんて間違えないでしょ、フツー。とかいうツッコミをしてはいけない。)と、まあここまではともかく、次はそれがきっかけでなんと出家しちゃって、今度は我々がビックリ。化粧に失敗して出家とか、現代に生きる我々にはちょっとピンと来ない。
娘の黒い顔にビックリしているシーンの、母親の顔がなんともユーモラスなのがよかった。これにしたって、娘が鬼に食べられたと勘違いしたってんだから、面白すぎる。色が黒いだけでどう見てもアンタの娘でしょ、とかいうツッコミをしてはいけない。
福富草紙(重文)
No.5。福富の放屁芸を羨んだ隣人の物語。羨んで福富に芸を教わった隣人が、この薬を飲むようにと言われて臨んだが、それはなんと下剤で、晴れの舞台で実を出してしまった隣人は散々な目に遭い、それを恨んだ隣人の妻が福富に復讐するというのが大筋。
別系統の本では騙される方の人物名が福富となっていて、その2系統が並んで展示されているのでちょっと混乱した。
鶴の草紙
No.18。鶴の恩返しの元ネタなのだろうか。鶴を助けた心優しき主人公はその後結婚。それを羨んだ地頭に「わざはひ」という獣を連れてこいと無理難題を仰せつかり、困って妻に相談すると、妻の実家の援助で「わざはひ」を入手。「わざはひ」は地頭邸でさんざん暴れ、困った地頭は主人公に褒美を与えた。実は妻はかつて助けたあの鶴で、身の上を明かして東の空に飛び去って行った・・・
「わざはひ」って名前見りゃどうなるかわかるでしょ、とか、せっかくうまくいったんだから夫婦でそのまま暮らしてりゃいいじゃん、とかいうツッコミをしてはいけないのだろう。鶴の恩返しは「見るなよ、見るなよ」というフリに応じて見るなという言いつけを破って姿を見てしまったために鶴の妻は去っていくのだが、これは別に禁を破ったりしたわけじゃないのに逃げられちゃうのがチト悲しい。
鼠草子絵巻・鼠の草子
No.41・74。いつだか思い出せないが、前に東博で見たことがある絵巻。ただ東博のものとは別の様々な伝本があるようだ。この日の展示巻は主人公の鼠の名前が『そほん』となっていた。会場の解説や東博でも見た『こんのかみ』とは違う。あれ、でもこの日展示されていたのは東博本だ。
物語は、清水寺の導きで人間の姫様と結婚した鼠が、鼠であることがバレて姫に逃げられ悲しみ、(これもまたまた)出家するという話。

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