ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル 版画の世界
2010-08-22


ブリューゲル好きを自認する自分としては、見逃すわけにはいかない。お盆なら人がいなくて空いてるだろう、ということで8月14日に観にいくことにした。
直前の10日にはBS日テレの『ぶらぶら美術館・博物館』でちょっと予習した。この番組は、美術番組らしからぬゆる〜い雰囲気が好きなのだが、今回は(今回も?)あまりタメにはならなかった。


開場時間をちょっと過ぎた10:15に会場到着。するとなんと、予想に反して会場内は入り口付近に行列ができている有り様。係員が「並んで順番に見る必要はありません、空いているところからご覧ください」と絶賛アナウンス中という混雑ぶり。ブリューゲルなんて知名度も低いはずなのに、いったいどうしたことだろう。
展示の初め第1章は、『雄大なアルプス山脈の賛美と近郊の田園風景への親近感』ということで、風景画ばかりのもよう。当方は風景画を観にきたのではない、「キモかわいい」怪物たちを観にきたのだ。というわけで、ここはばっさりカットしていくぶん人の少ない奥へと進んだ。

聖アントニウスの誘惑
No.35。平凡な風景画コーナーを過ぎて最初に現れる怪物版画で、チラシにもあしらわれている作品。手持ちの画集にも載っている有名なものだ。
まさにブリューゲルの世界だ。
七つの罪源シリーズ
No.38〜44。キモかわ怪物のオンパレードで、この展覧会のクライマックスだ。
ここと次の「七つの徳目」シリーズは1枚ぺらだが解説の紙が用意されていたのは嬉しいところ。しかしみんなその場で読み出しちゃって、混んじゃうのは良くないところ。"Don't think, feel!" と、とりあえず観るだけ観てからあとで解説を読む作戦をとった。そうすれば2度楽しめる。
邪淫(No.44)は、寝っ転がって陰部をおっぴろげにしたキャラに、おぎやはぎの二人が興奮していた1枚だ。あちこちでエロい光景が展開されていた。
大きな魚は小さな魚を食う
No.88。これまた有名な1枚。この版画をモチーフにしたアニメが会場で流れていたが、なかなかおもしろい。この一角のソファのカバーが、この作品に登場する「とびっこちゃん」になっていた。なかなかポップだ。
ホボケンの縁日、シント・ヨーリスの縁日
No.109、110。双方、細部は違うがそっくりな構図で、特に右の建物が同じなのが目を引く。奥の方の人まで細密に描かれているのがブリューゲルらしい。
アントワープのシント・ヨーリス門前のスケート滑り
No.112。スケート風景の作品がいくつかあったが、そのいずれにも転んでるやつと、氷を踏み抜いて溺れてるやつがいて笑えた。転倒はよくあることとしても、水没はそんなにねえだろ、とか思ったのだが、それは現代の日本人の視点だからで、実は16世紀のベルギーでは日常茶飯事だったのだろうか。そういや『若草物語』でもスケート中に氷が割れて大騒ぎになるシーンがあったっけ。
ここの解説板で、「シント・ヨーリス」とは「皇帝門という都市の門の通称」とあったが、図録を読むとアントワープにある門の名前となっている。つまりアントワープに皇帝門という門があって、その通称名が「シント・ヨーリス」ということなのか?
No.132。こ、これは、あの有名な『干し草の収穫』と同じ、頭が籠になっちゃった人がいるじゃないですか。図録も解説もまったくスルーなのは残念。

1時間ばかり楽しんで会場の最後のショップに到着。キャラクターのフィギュアがあると聞いていたが、なんとガチャガチャだった。まさかこんなところでモヤさま気分が味わえるとは思ってもみなかった。2回やったら、キャラクター・ギャラリーの「足魚」と「卵ちゃん」のフィギュアが出てきた(ダブらなくてよかった)。


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[美術]

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