アルチンボルド展
2017-07-14


アルチンボルドを知ったのは、ワインラベルだった。ちょっと変わったラベルのワインがあると思わずジャケ買いしてしまうことがあるが、まさしくそのパターンだったのだ。 かつて Bunkamura で開催された「だまし絵展」でも見られたようだが、あまり興味がわかないので行かなかった。だから今回、初めて見ることになる。
思わず誰それ、と言いたくなるほど知名度は低く、それほど混まないような気もするが、しかし主催がNHKと朝日新聞だから、帳尻は合わせてくるに違いない。早めに観に行くことにした。予備知識がほとんどないが、まあしかたない。
[LINK] (禺画像])


上野に着いたのは10時過ぎ。当日券売り場の列はまあまあの長さだった。我々は前売ペア券があるので、そのまま地下の入口へと進む。するとなんとロビーに30人ほどの行列が。出遅れたか、と焦ったが、なんか様子がおかしい。何に並んでるんだ?
それは「アルチンボルドメーカー」の列だった。自分の顔をカメラに向けると、コンピュータが、野菜とかもろもろのものでアルチンボルド風に合成した肖像画ができあがるというもの。肖像画と一緒に記念写真も撮れる。絵を観ていると内にこちらの列が伸びそうな気がしたので、何はともあれ、こちらを優先した(何しに来たんだか)。並びながら人がやってるのを見て、どう撮影すればいいかイメトレに励む。10分ちょいで順番が回ってきて、いざ撮影に臨んだが、いささか残念な出来栄えだった。

やり直したいが、遊んでばかりもいられない。ここは断腸の思いで、絵を観に行くことにした。いや、それが本来の目的なのだけど。
自動ドアを通るといきなり目の前にアルチンボルド的な肖像画があった。タイトルに四季とあるが、ポスターなどになっているあれではなくて、1枚の中に季節が全部入っているものだった。晩年の作品らしい。
すぐに地階へと下る。2つほど部屋を抜ける。普通の絵ばかりでつまらない。完全スルーしたのでよくわからないが、たぶん初期の絵なのだろう。部屋を抜けたあとまた階段で上に。

するとここで唐突に、四季と四元素が現れた。四角いの四面の壁に2枚ずつの展示。
作品じたいはイロモノ風だが、画そのものが上手く、構成物がきちんと描かれているので、なんか、ちゃんとしてるなあ、というのが第一印象だった。
展示順が、春夏秋冬の間に四元素が混じっていて、なんかわかりにくい。が、火・夏のパネルの裏の小部屋にあった解説を見たら、四季と四元素はそれぞれがペアになっているという。8枚の絵は全て横顔なのだが、ペアをきちんと並べるとお互いがちゃんと向き合うようになっている。で、そのペアごとにちゃんと並べられているのだ。
なるほどと思ったが、今度は額がまちまちで統一感がないのが気になった。なんでこんなばらばらなの、と思っていたところ、作品リストをよくよく見たら、所蔵者が違うからだとわかった。「アルチンボルド記念美術館」とかがヨーロッパのどこかにあって、そこから一括で持ってきたもんだと勝手に思ってたのだが、そうではないのだ。所蔵者は5者もあった。てことは、8枚を一堂に見られるということは、実はたいへんなことなのではないかと思えてきたのだった。

人もそれほど多くなく、じっくり堪能することができた。次の部屋に移動する。
アルチンボルドの追随者は本家に較べるとやはりへたくそだ。さらに多毛症の絵など、アルチンボルドとどういう関係があるのかサッパリ分からないものまで現れた。終点までの間にアルチンボルド本人の絵は5枚だったか。「法律家」は、本人を知る人が見れば一目でそれとわかるほど、特徴をとらえているということだ。気にいったのは、「司書」。ダリとかが描いてそうな感じだ。


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[美術]

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